知人の紹介で、普段見られない高砂部屋の朝稽古を見学させていただきました。
希勢の里が感動の優勝を成し遂げて話題沸騰の場所でした。そんな大阪の盛り上がりの中には沢山のお相撲さんたちの青春があります。がんばっても、どんなに苦しい思いをしても、誰も褒めてはくれない、そんなのは当たり前に実力の世界で生きている若者たちです。
報道陣とタニマチさんしかいない中でポツンと場違いの私が入ってきて最初は誰やという視線をいただきました。朝の早くから稽古が始りますが、若い衆が愛のあるシゴキをもらいます。
ボディビル的に表現すると、追い込みでしょうか、地獄の追い込みはこれをやらないと絶対に強くなれないというものです。もちろん、身体が大きい力士は有利ですので、小さい力士ほど追い込んでいます。勝負に強ければ良いという世界ですので、強ければどんな戦法でも認められます。稽古をしながら自分が強くなるためにはどうすればいいのかを必死に追い求めるのです。この稽古の張り詰めた空気は別世界です。私語は一切ありません。
この空間は若い力士の人生を掛けた舞台そのものなのです。そこには神聖な精神しか存在しませんでした。
自分がもうダメだと思えばそれで終わり、地獄を味わいながらもなんとかしなければと、自分の弱さと向き合い戦います。兄弟子たちはそれを我慢強くサポートします。けっして、無理やりに叩いたりしていません。本人が気持ちを作らなければ意味がないのです。
100kg~200kgの巨体が俊敏に動き、限界まで力を尽くします。息が上がり、「はあ、はあ、はあ」と大きく呼吸します。苦しいのがとても伝わるのです。それでも、追い込む時はさらに限界まで挑みます。
身体を大きくするという意味では、ボディビルも共通していますから、これだけ大きな身体を作って、これだけ激しい運動が出来るということに関心しました。やはり、ただ、長時間の稽古ではなく短時間にいかに激しい追い込みをかけるかが、稽古のカギという点において、身体を作ることの原理にしたがっていると感じました。
最後はしっかりと身体のケアをしています。柔軟体操して、それから、体幹トレーニングを若手においてやってました。これには以外で驚きました。本格的にサッカー選手のごとくやられてました。
たっぷり2時間半くらい見せていただいて大満足の私は帰りには、ちゃんこ鍋をふるまわれました、とてもおいしくてびっくりします。ダシの旨みが半端ではないですね。野菜の旨みがよくきいていて、いくら食べてもあきません。
大変に貴重な経験をさせていただいてご尽力いただいた方には本当に感謝します。